一坪共有地強奪の不当判決を徹底弾劾する
                   三里塚芝山連合空港反対同盟


 反対同盟は、千葉地裁による一坪共有地強奪の六・二八不当判決を満身の怒りを込めて弾劾する。この判決は、暫定滑走路北延伸着工と「へ」の字誘導路直線化のための暴挙である。さらに、御料牧場の開墾から三代九〇年にわたって耕作を続ける市東孝雄同盟員の耕作地の強奪と、天神峰現闘本部の破壌攻撃に道を開こうとするものであり、絶対に許すことができない。

 成田空港の事業認定は失効し、二期工事用地の収用に係る裁決申請はすべて取り下げられている。不屈の抵抗闘争は、天下の悪法である土地収用法による用地強奪を粉砕した。判決はこの土地収用法による用地強奪の破たんを、民法による金銭売買という常軌を逸した手段でかすめ取ることを違法に認めたものであり、裁判史上まれにみる反動判決である。

 今日、自民党は戦後史の大転換を狙う憲法改悪に踏みきり、人民の権利のすべてを剥奪する攻撃に出ている。判決は、この改憲攻撃と一体となって、一坪共有運動という住民運動の抵抗手段を奪う司法反動そのものである。

 反対同盟はただちに控訴して闘う。反動判決を粉砕し、北延伸着工を阻止して空港廃港の勝利の日まで闘いぬく決意である。
 右、声明する。

 二〇〇六年七月二日

        北延伸着工阻止 決戦宣言
                (三里塚芝山連合空港反対同盟)

 成田国際空港会社は、明日にも北延伸のための計画変更を国交大臣に申請する。九月認可─着工を目論んでいる。そのための切り崩し攻撃と着工準備に動き出している。日本をふたたび戦争のできる国に転換させる改憲攻撃のただなかで、三里塚は決戦に突入した。反対同盟は四〇年の闘いのすべてをかけて決起する。

 攻防の焦点は、「へ」の字誘導路の直線化、「東峰の森」破壊による誘導路建設、廃棄物処理場の違法転用、延伸工事にともなう国道五一号トンネル化である。空港会社は市東孝雄同盟員の小作権解除を要求してきた。受け入れなければ農業委員会に申し立て、堂本知事の権限で決定すると脅しをかけている。「東峰の森」の破壊と誘導路建設を受け入れよと、最後通牒ともいえる内容で東峰区に迫っている。北部の久住・下総住民の抗議をよそに、騒音対策が合意できいなまま、北延伸へと暴走している。すべて、〇九年完成期限にせきたてられたあげくの暴挙である。

 昨年五月、黒野謝罪文――「長い間のご苦労、失われた名誉、尊厳に対して、心を砕かなかったことを痛感」「深くお詫びし反省」「今後、生活環境や人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやってはいけないとの強い決意」。そのあげくが、農地強奪と森の破壊、民家上空四〇メートル・一三〇デシベルのジャンボ飛行と権力による監視だ。これを生活と権利、名誉と尊厳の徹底破壊といわずしてなんというか。これが人間の道理なのか!
 反対同盟は、大木よねさんの憤怒を思い出す。今また森を破壊し、農地と家、人々までも空港敷地にとりこむ暴挙は、かたちを変えた強制収用であり、国家犯罪そのものだ。

 これはまた、憲法改悪の先取りである。「国策」という暴挙に体を張って立ち向かう抵抗運動の一掃であり、有事に成田を五〇万米軍受け入れの基地とする軍事化攻撃である。米軍再編による米軍・自衛隊の一体化と軌を一にしている。
 沖縄、北富士、関西、そして動労千葉を始めとする闘う労働組合、学生のみなさん! 改憲に反対する全国のみなさん! 敢然とたちあがろうではないか。米軍の虐殺と闘うイラク人民、韓国農民・労働者の決起、世界の人民の闘いと連帯し、この日本で目の覚めるような闘いをぶちぬこう。
 反対同盟はこの夏の攻防から〇九年に到る三年間を決戦として闘う。天神峰現闘本部裁判支援の拡大を訴える。一〇・八全国集会に、臨戦態勢をうちかため総決起しよう。   
 二〇〇六年七月二日 

       三里塚反対同盟 緊急抗議声明


 NAA(成田空港会社)黒野社長は7月10日、成田空港の暫定滑走路を「北延伸」して2500bにする計画変更申請を、敷地内農家と騒音下住民の反対を無視して強行した。北延伸とは、東峰区の農家上空40bに大型のジャンボ機を飛ばし、農家を殺人的騒音にさらして叩き出そうとする国家犯罪である。神社の立木を伐採し、いままた「東峰の森」を破壊し、農地と家屋、一間でも空港内に取り込むぼうきょは断じて許さない。身勝手な計画変更で空港北部の久住地区や高倉地区に騒音地獄を強制する暴挙は許されない。NAAは北延伸計画を全面的に撤回せよ! 9月にも強行といわれる北延伸「着工」を、あらゆる闘争手段で阻止するためにたたかい抜くことを宣言する。

 今回NAAは、北部住民の声を無視して「申請」を見切り発車させた。そして「地域振興」の言葉でごまかそうとしている。だが、大騒音とともにやってくる「地域振興」とは何だったか?滑走路南側の芝山町菱田地区で進行する廃村化の現実を見よ! 地価は下がり、里山は荒れ、、集落は分断され、生活破壊だけが残された。空港の拡張は百害あって一利なしだった。これが現実である。「市民派」を名乗る堂本知事が、NAAと同じ立場で騒音下住民の声を押しつぶす政治に荷担していることも到底認めがたい。

 黒野社長は記者会見の場で「(北延伸後の)さらなる延長」を公言した。ジャンボ機を飛ばして南側・東峰地区の農家を叩きだし、滑走路を軍用機も飛べる「4000b級」にする計画なのだ。北側の久住地区をはじめ、周辺地域を丸ごと無人化し、押しつぶす計画なのだ。これはさる五月の「米軍再編に関する日米合意」で、成田空港を米軍に提供すると決めたことと関係している。以前から成田空港は、有事の際に米軍に提供するといわれてきた。まさに暴挙としか言いようがない。

 さらにNAAは今回、「北延伸」で大型機を飛ばすために、「へ」の字誘導路の中にある天神峰地区・市東孝雄さんの農地を強権的に取り上げようと画策、成田市農業委員会に「耕作権解除」を申請した。この農地は市東さんの祖父が開墾し、以後90年に渡って耕してきた耕作地で、農地法を濫用し「耕作権解除」を強制するなどあり得ない土地だ。政府・NAAは「二度と強制的手段を使わない」とした93年の確約をも反故にしたのだ。市東さんは弁護団とともに、直ちに同申請を却下するよう農業委に申し入れた。不法な農地強奪は許さないとの強い意思表示である。

 北延伸工事の「09年完成」というNAAの身勝手な主張を、私たち反対同盟は絶対に許さない。東峰・天神峰地区で国家犯罪を告発する住民たちとともに、空港北側で理不尽な騒音に苦しむ住民たちとともに、そして全国で三里塚に心を寄せる仲間たちとともに、北延伸着工攻撃を真っ向から迎え撃つ覚悟である。以上、北延伸への「変更申請」に対する緊急抗議声明とする。

2006年7月11日 
三里塚芝山連合空港反対同盟